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10/20代議員会報告③方針

(1)総論

 総括・情勢を受けて改めて2点確認したい。

  • 同学会の執行部が処分や逮捕弾圧の一切を引き受けて先鋭的に闘い続けてきたことが、その影で幅広く学生が運動を展開する余地を生み出してきた
  • 現在改憲・戦争政治のもとで大学改革が加速し、役員会が主導する形で処分をはじめとした弾圧の範囲が拡大し、学生自治を根こそぎ破壊しようとしている

 今や、あらゆる運動が処分の圧力にさらされている。だからこそ、個別課題に取り組むさまざまな運動をつなげて全学的な団結を作り出すこと、そして弾圧の圧力に屈することなく闘える大衆運動を作り出すことが必要だ。
 同学会運動は、処分や逮捕などの弾圧に屈することなく闘い続けてきた。その培ってきた内容を、全体のものにすること、現在さまざまに展開されている個別の運動の中に還流させていくことが重要だ。
 そのための方針として、3点提起する。

 

①全学自治の必要性を訴えること
 この間の規制や弾圧をすべて主導しているのは役員会であり、その背後に政府・財界の思惑があることは情勢で確認したとおりである。教授会すら権限を剥奪されている今、個別バラバラの運動では規制にも弾圧にも勝ちきれないことは明らかだ。
 京大では、特に立て看板をめぐる攻防を中心に、運動が大衆的に盛り上がりを見せている。また、京大には寮やサークルなど既存の大衆的な団体が多数存在しており、各々がおのおのの問題に取り組みながら運動を展開している。このようなシングルイシューの運動は主張内容がわかりやすく、大衆の問題意識とかみあえば爆発的に拡大する。その中で、例えば立て看板に関して自主管理の方針が出されたり、運動の拡大のために新歓に力を入れると言った意識的な動きも出てきたりしていることは素晴らしい。
 ただ、最終的に勝利するためには、役員会に対抗する学生全体の団結した行動とそれを作り出す全学自治会が必要だ。目の前の問題に取り組むだけではなく、先を見据えた全学自治の必要性を意識的に訴えて、さまざまな運動が具体的につながり協力する体制を作り出していこう。

②京大学生運動の社会的な意義を訴えること
 一般に、学生運動は大学に在籍している間だけの運動だ。学生運動を「大学内の問題」「卒業したらもう関係ない」と捉える限り、のちの長い人生に悪影響を及ぼす処分や逮捕の圧力に抵抗することは難しい。4年間我慢すればいいだけなのだから。
 再建同学会は、当初から原発御用学者をはじめとした「大学と社会との関わり」における課題に取り組み続けてきた。特に2015年バリケードストライキは、安保関連法の強行採決や安全保障技術研究推進制度(大学向け軍事研究)の開始を受けて、戦争反対を訴え、国内外の人々と連帯する意思を込めた社会運動として敢行された。そこには戦争反対の立場を表明することを拒み、大学が戦争政策と無関係であるかのように振る舞う京大当局への怒りがあった(実際、翌年に米軍マネーの流入が発覚している)。間違いなく何らかの弾圧が来ることもわかった上でそれでも行動できたのは、「学生の立場」を超えた社会的な意義への確信があったからだ。だからこそその後の逮捕・処分に対しても毅然と立ち向かうことができたし、その処分撤回運動が大きな共感を呼び、全国で1万筆以上の署名が集まった。そして連帯の広がり、具体的な支援を通じて、改めて闘う意義を確信し、激化する処分や逮捕弾圧に対して今に至るまで屈することなく同学会運動は続けられてきた。
 核心は、一大学の問題ではなく、大きな枠組みでものごとを捉え、社会的な意義を語ることだ。60年代・70年代の学生運動最盛期を紐解くまでもなく、学生運動の持つ社会的影響力は非常に大きい。京大のタテカン運動ひとつとっても、メディアでも報道され、全国の大学生の共感と行動を生み出している。
 京大は全国でも唯一、ある程度学生運動の文化が継承され実際に闘われている大学だ。京大学生運動の敗北は、直接に「学生が声を上げられない社会」の到来につながる。現在矢継ぎ早に進められている規制や弾圧は、結局は大学改革の一環であり、大学を総長の私有財産にし、政府・財界の都合のいい道具とする攻撃としてある。そしてそれは、自民党の改憲政策とも一体のものとして展開されている。だからこそ、京大内のあらゆる抵抗運動は、こうした支配に立ち向かう闘いとして等しく社会的意義を持っている。シングルイシューに取り組むさまざまな運動をつなげていくためにも、そして弾圧に屈することのない確信をもった活動家を増やしていくためにも、この社会的意義をはっきりと丁寧に訴えよう。

③処分撤回運動に本気で取り組むこと
 京大当局は、9月に「職員への抗議」を理由に3名の京大生を無期停学処分にしただけでなく、入試期間中にキャンパスに「オルガ像」を持ち込んだ京大生に対しても処分に向けた手続きを開始している。同学会以外の学内イベントに対しても職員による監視・妨害が行われるようにもなった。そうした中で、「大学に逆らえば処分される」という圧力が、学生の主体的な行動を押し留めている。
 まさに処分弾圧は、当局に逆らう人格を見せしめにすることで、学生に声を上げられないように抑圧する攻撃だ。処分や逮捕に対して何の反撃もできなければ、弾圧を恐れてひたすら妥協していくことになるだろう。
  弾圧を避けるために覆面をしたり、仲間を増やしたりすることは大事なことだ。しかしやはり運動の先陣を切り、中心を担う人格は必ず必要であり、そうした人格に弾圧が集中することは避けられない。
 だからこそ、逮捕・処分の問題は、今後の新しい学生の決起や運動の可能性に直結するという点で、京大学生運動の存亡をかけた重要な闘いである。

 一方で、弾圧の対象が拡大し、多くの学生が問題意識を持つようになった今だからこそ、逆に処分に対する怒りの声を広範に集めて反撃できる情勢になっている。すでに熊野寮自治会が処分の撤回を求める声明文を決議し、署名集めを開始した。吉田寮自治会も抗議声明を出している。これまでバラバラだった京大内の運動が、処分撤回運動を通して団結できる条件は整いつつある。互いに仲間を守り合い、それぞれの運動をみんなで取り組む、実態ある全学自治を作り出していこう。

 不当な弾圧との闘いを大衆的に盛り上げることが、権力の思惑を粉砕する最大の反撃である。そして、処分に屈せず闘い続け「処分されても終わりではない」「処分を下したら手痛い反撃を受ける」と当局に突きつけること、力で押し返すことを通じて、処分阻止・撤回を勝ち取ることができる。
 新たな3名への無期停学処分の問題は、今年1月末の時点で手続きが始まっていた。しかしビラまき弾圧で3名の仲間が獄中に囚われ救援に奔走する中で、処分を阻止するための闘いに踏み切ることができなかった。当時、処分攻防を最重要課題と位置づける目的意識を持てなかったことは猛省しなければならない。改めて、弾圧に対する瞬発力と、情勢を見極め、目指す先を意識して方針を作っていく力を身に着けよう。

 逮捕の話で言えば、2016年バリスト弾圧、2017年オープンキャンパス弾圧は、弾圧を団結に変え、見事に粉砕した。ビラまき弾圧も含め、昨年から続く弾圧への権力側の執念はこのときとは比べ物にならないが、さらなる大衆的団結の強化と拡大によって、必ず打ち破ることができる。
 処分当該の一人が、「12月には、学内でありとあらゆる生き物が集まる集会を開催したい」と宣言している。処分当該ととことん連帯し、12月の集会を処分撤回の全学的な集会として成功させるために全力で協力しよう。

(2)各論

 9月の全学連大会(学生運動に取り組む全国の学生が集って議論する会議)において、京大生からさまざまな問題意識が出された。

「自治の問題と政治の問題の関係性が伝わっていない」
「潜在的に当局に反対の人はいるが、形になっていない。匿名の決起を作り出せないか」
「自治寮に住んでいると問題意識を共有しやすい。しかし寮以外の人へのアピールどうするか」
「抵抗している人が存在している事自体が知られていない」
「自分も学部から圧力を受けている。いかに潜在的に活動する人を増やせるか」
「公認サークルだから公認取り消しを恐れてタテカンが出せない」
「市民との交流が大事」

 こうした問題意識に応えつつ、処分撤回運動をゴリゴリ進めていこう。一旦思いつくものを羅列したので、さまざまな案を出して方針を豊富化させ、みんなでしっかり取り組んで発展させていこう。

①宣伝活動
 学内的にも、学外的にも、まず情報発信しなければ連帯する前提すら生まれない。宣伝活動を最も重要かつ基本的な活動として取り組もう。
 毎回の運営会議でビラ制作や宣伝活動のスケジュールを確認する。

(学内)
宣伝の内容:京大で起きていること、抵抗勢力の存在と闘いの報告・周知、全学自治の必要性、自治の問題と政治の問題の関係性の説明(運動の社会的意義)
方法:朝置きビラ・昼情宣の徹底・・・
 キャンパス内での展開やクラス討論は弾圧の強化の中でますます困難になっている。無理をせず、継続して宣伝し続けることを重視しよう。特に昼情宣や集会で討論になり、運営会議に来る学生もいるので、門前に登場し続けることが大事だ。

(学外)
宣伝の内容:京大で起きていること、抵抗勢力の存在と闘いの報告・周知、京大学生運動の社会的意義
方法:三条街宣・ポスティング・店への置きビラ・・・
 街宣での市民の反応はかなりよい。署名集めも合わせて継続的に取り組もう。

(ネット)
ツール:ホームページ(記事の充実)、Twitter、Facebook・・・
 特にホームページは多くの情報を載せることができる。全国的にも「京大で起きていることに興味はあるが詳しいことがわからなくて困る」という声が上がっているようだ。また、学内ビラにもQRコードを載せれば多くの情報を学生に伝えることができる。記事を充実させて、発信を強化しよう。

②学内団体との交流
 重要なことは、全学自治に向けた具体的な運動の連帯関係をひとつひとつ作っていくことだ。京大当局の弾圧もあり、「同学会と関わるとやばい」というのは物理的な意味を持っている。だからこそ、同学会としての活動をしっかりやりつつ、個別の運動の中にどんどん入っていこう。運動をいっしょに担うと同時に、特に処分撤回運動への賛同や取り組みを提起していこう。
対象:寮自治会、学部自治会、西団連、西連協、サークル、職員組合・・・

③教官との交流
 さまざまな改革が一挙に進む中で、問題意識を持っている教官は多い。ただ、表立って活動できないという教官がほとんどだ。しかし直接いっしょに行動することはできなくとも、研究室を回って個別に教官と会い、今の京大の内部で起きていることを教えてもらうだけでも大きな力になる。今後学生と教官が連帯して役員会支配に対抗していく準備としても、教官まわりを進めていこう。

④裁判闘争
 昨年以来のビラまき弾圧は、「ビラをまいただけで逮捕・起訴」という凄まじい弾圧だ。京大職員は逮捕・起訴を「総長が施設管理権を持っている」ことを根拠に正当化している。「大学は総長のもの」とすることであらゆる弾圧を肯定する論理だ。そうした中で、「同学会の活動に学生が巻き込まれないためにビラを回収している」という証言も出ている。今の京大のあり方を批判する言論すら、「施設管理権」を盾に認めないということだ。さらに京大当局を、警察・検察・裁判所もまた支援あるいは黙認する体制が作られている。この実態を多くの人に知ってもらうため、そしてビラまきを犯罪にさせないために、処分撤回運動とともに裁判闘争に積極的に取り組み、宣伝しよう。

⑤集会・デモ
 10・3集会は多くの注目を集めて成功した。日々の街宣だけではなく、結集軸となる闘いをキャンパス内で堂々とやることは非常に大事だ。当局に圧力を加えるだけでなく、キャンパスの学生が弾圧の存在とそれと闘う勢力の存在を見て、問題意識を持ったり触発されたりすることが、キャンパス内に運動を作り出す水路になる。
 また、デモは市民の注目を集めて京大の現状に興味を持ってもらい、支援を増やしていく重要な闘いだ。
 何より集会・デモは、一緒に参加した人たちの団結を強める。問題意識を共有して共に行動する大きな方針を定期的に打ち出していこう。

⑥運営会議の発展
 問題意識を持っている学生は多くとも、それが行動として実現することは少ない。会議は、ひとりではできないことをみんなで議論して一緒に取り組むことで実現していく、学生自治の根本となる活動だ。さまざまな水路でつながった人たちに運営会議に参加してもらい、それぞれが経験した出来事や闘いを共有し、運動の総括や方向性について討論し、同学会を発展させていこう。

⑦学外の運動への参加
 京大内に閉じこもっているだけでは京大学生運動は「京大生の特権を守る運動」に後退してしまう。京大の弾圧の背景にあるのは、今の政府・財界の思惑だ。全国の学生運動だけでなく、今の社会に抵抗するさまざまな労働運動・市民運動とも積極的につながっていこう。座して支持してくれるのを待つのではなく、こちらから交流しに行こう。会って直接話すこと、いっしょに行動することが連帯の近道だ。そうした全社会的なつながりと力が、大学を含めた社会変革の力となる。
 今、学生運動の絶滅を狙って京大に弾圧が集中しているのと同様に、労働運動の絶滅を狙う弾圧が激化している。関西地区生コン支部への労働組合活動を理由に数十人を逮捕・起訴するという常軌を逸した弾圧、JRにおける社友会(会社側の団体)に労働者を組織して労働組合を絶滅させる攻撃など。労働運動は、学生運動と同じ攻撃にさらされているだけではなく、学生の未来を守る運動として、社会全体を支える運動として最も重要な闘いだと言える。積極的に連帯していこう。特に労働運動の再生を目指す日本最大の集会である11・3全国労働者総決起集会に参加しよう。